• 2022年新刊

生化学

  • 編集

    石堂一巳

  • ISBN

    978-4-524-22839-3

  • 発行年月

    2022年1月

  • 判型

    B5

  • ページ数

    168

  • 定価

    本体2,200円 + 税

正誤表・リーフレット

  • 本書の特徴
  • 改訂のポイント
  • 序文
  • 主要目次
  • 改訂のポイント
  • 推薦のことば
  • 採用者のこえ
  • その他の情報

序文

学生のみなさんは,「生化学」という言葉をはじめて聞くと,「むずかしそう」「きっとわからない」などと思うでしょう.それは中学・高校で学ぶ「生物学」でもなく「化学」でもない,はじめて学ぶ科目だと思い込んでしまうからだと思います.でも実は,生化学はすでに中学・高校で学んだ生物学の内容を化学の言葉を使って説明しようとする生物学の一分野なのです.<br>
 ヒトの体を理解するには,形態から入る解剖学と,機能から入る生理学があります.生化学は生理学の中から生まれました.化学の発展により分析技術が向上し,体の中の分子を同定できるようになりました.その結果,直接,目で見ることはできないけれど,いろいろな体の変化は,共通した分子の変化によって起こっていることがわかるようになりました.<br>
 たとえば肺炎と肝炎は,原因が異なりますので,炎症が起こる臓器は違います.しかし,炎症を起こす分子や炎症に対する体の反応は共通しています.この体の中の変化を分子の変化として捉えるのが「生化学」です.生化学を学ぶと,体の中で起こるさまざまな反応を,分子レベルで説明することができます.さらに,疾病の症状が起こるメカニズムも説明できるので,生化学は疾病の治療とも密接にかかわっています. <br>
 運動でも勉強でも,何かをマスターするにはすべてを覚えるか,一部分を理解して残りは理解したことを応用することが必要です.ヒトの体の中の現象を理解しようとするとき,生化学をマスターすれば,覚えることを少なくすることができます.生化学の知識があれば,なぜ発熱するのかといった症状や,熱を下げるにはどうしたらよいかという治療の方針まで理解できます.つまり生化学を勉強することは,ヒトの体の中で起こっていることを理解するもっとも効率のよい方法なのです.<br>
 本書は,看護師になるために進学し,はじめて生化学を学ぶ学生のみなさんのために書きました.みなさんが苦手とする元素記号をできるだけ使わないようにし,またみなさんの興味を引くコラムを多く掲載するなどの工夫をしています.さあ,ヒトの体の中で起こる分子の変化を学ぶ旅にでかけましょう.<br>
 2021 年11 月<br>
石堂 一巳<br>

主要目次

第1章 生体の分子化学 <br>
第2章 代謝の基礎と酵素・ビタミン・ミネラル <br>
 1 代謝の基礎 <br>
 2 酵 素 <br>
 3 ビタミン <br>
 4 ミネラル <br>
第3章 糖質とその代謝 <br>
 1 糖質の構造 <br>
 2 糖質代謝 <br>
第4章 脂質とその代謝 <br>
 1 脂質の構造 <br>
 2 脂質代謝 <br>
第5章 タンパク質とその代謝 <br>
 1 アミノ酸とタンパク質の構造 <br>
 2 アミノ酸とタンパク質の代謝 <br>
第6章 核酸・ヌクレオチド・遺伝 <br>
 1 核酸の構造と機能 <br>
 2 ヌクレオチドの代謝 <br>
 3 遺 伝 <br>
第7章 ホメオスタシスを維持するための情報伝達 <br>
 1 細胞間情報伝達 <br>
 2 細胞内情報伝達 <br>
第8章 水・電解質のホメオスタシスの維持 <br>
 1 体の中の水分 <br>
 2 酸塩基平衡 <br>
第9章 生体防御(免疫) <br>
 1 血 液 <br>
 2 免疫のしくみ <br>
 3 自己免疫疾患 <br>
第10章 疾患の生化学 <br>
 1 生化学の発展により病気の診断が変わった <br>
 2 感染症と予防 <br>
 3 生活習慣病と生化学 <br>
 4 がんと生化学 <br>
索引 <br>