- 2023年改訂
看護管理学(改訂第3版)
自律し協働する専門職の看護マネジメントスキル
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編集
手島恵 藤本幸三
- ISBN
978-4-524-20421-2
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発行年月
2023年3月
- 判型
B5
- ページ数
304
- 定価
本体2,500円 + 税
正誤表・リーフレット
- 2023/10/13第1刷
サポート情報
- 2024/02/19最新情報に基づく補足
序文
2020 年の年頭からはじまったCOVID-19 の感染拡大により,看護職が感染予防,回復支援等の保健医療提供における重要な役割を担っていることが明らかになる一方で,世界中で深刻な看護職の不足が生じています.パンデミックの影響を受け,労働力不足,リソース不足,低賃金,不適切な労働条件に直面しており,世界的な政治的,社会経済的な危機と相まって,多くの看護師がこの職業から離れることを考えるようになり,この状況が続くと2030 年には,全世界で1300 万人の看護職が不足すると言われています.<br>
これからの看護職には,このような状況に対して創造的な解決策を見出す必要があり,看護基礎教育で看護管理を学ぶ意義がより大きくなったと考えます.特に第U章の「5.自己管理」に記されている内容は,職場でのストレスに対しての自己コントロールについて,あるいは時間管理の方法についてヒントになる内容が記されています.<br>
2018 年の改訂第2 版では,新たな執筆者が加わり,2013 年版の内容をもとに改訂を行いました.電子化された患者情報の活用や,働き方改革など,時代の要請に対応して「看護管理における情報管理」と「働きやすい職場環境づくり」の項目を設けました.また,第U章の管理行動の節では,コミュニケーション法としてアサーションを加えるとともに,指示や交渉,葛藤の解決について,初心者にもわかりやすく理解できるよう工夫しました.第V章の看護管理と倫理の中には,ガバナンス,コンプライアンスについての説明を加え,基礎教育課程の学生においても,組織の一員としての責務,あるいは管理の視点を理解できるように解説しています.今回の改訂第3 版では,それに加え,法・制度の改正・改定についての情報を刷新し,データを一部更新しました.<br>
高齢社会の進展とともに人口が減少して,人的資源の確保がむずかしくなる一方で,AI(人工知能)やIT(情報技術)の開発が進み,それらをどのように看護実践に活用するかが課題となっています.この本を手にして学ぶ皆様にとって,2025 年,75 歳以上の人口が急増することで起こると予想されているケアの担い手の不足,医療や介護費用の増大に対応しながら最善の方策を考える手掛かりになれば編集者一同,望外の喜びです.<br>
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2023 年2 月<br>
手島 恵<br>
藤本 幸三<br>
主要目次
第I章 看護管理の基礎 <br>
1.看護管理を学ぶとは <br>
A.看護管理を学ぶとは <br>
B.看護管理学とは <br>
C.看護管理学の内容 <br>
2.看護サービス管理6 <br>
2―1看護サービスの管理 <br>
A.看護サービスとプロフェッション <br>
B.サービスと特徴 <br>
C.看護サービスの管理 <br>
D.看護サービスは協働して提供する時代 <br>
2―2マネジメント <br>
A.マネジメントの定義 <br>
B.マネジメント過程の必要性 <br>
C.近年におけるマネジメント過程とその変遷 <br>
D.13のマネジメント機能 <br>
E.マネジメントのレベルと職位 <br>
F.マネジャーとリーダー <br>
3.看護組織と管理 <br>
3―1組織論 <br>
A.看護管理の対象としての組織 <br>
B.組織の成り立ちを決める要素 <br>
C.組織行動に影響を及ぼす要因と看護管理 <br>
D.医療組織の基本的な機能と形態 <br>
E.看護部門の組織的な運営と形態 <br>
F.組織の中のコミュニケーション:指示・命令・報告 <br>
3―2看護提供方式 <br>
3―3リーダーシップ・メンバーシップ <br>
A.リーダーシップとは何か <br>
B.リーダーシップとマネジメント <br>
C.変革に必要なリーダーシップスタイル <br>
D.リーダーシップとイメージ <br>
3―4意思決定 <br>
A.意思決定とは何か <br>
B.意思決定のアプローチ <br>
C.組織の意思決定 <br>
D.優れた意思決定を行うための方策とツール <br>
E.演習 <br>
3―5組織変革 <br>
A.変革とは何か <br>
B.変革に対する人々の反応 <br>
C.変革モデルと変革のプロセス <br>
D.変革における変化媒体の役割 <br>
E.組織変革とリーダーシップの関係 <br>
4.看護管理プロセス <br>
A.看護管理情報 <br>
B.プロセス管理 <br>
C.問題解決プロセス <br>
D.演習 <br>
<br>
第II章 看護管理のスキル <br>
1.資源の獲得と配分 <br>
1―1看護収支管理 <br>
A.看護管理における収支管理の必要性 <br>
B.看護にかかわる収入と支出 <br>
C.資源の効果的・効率的活用の方法 <br>
D.これからの看護経営管理と計数管理 <br>
1―2医療経費と看護 <br>
A.病院会計準則 <br>
B.財務諸表のしくみ <br>
C.経営分析 <br>
D.看護と医療経費 <br>
E.看護配置と医業費用 <br>
2.人的資源管理 <br>
2―1人的資源とは <br>
A.看護における人的資源の特徴と活動 <br>
B.人員配置と看護の質 <br>
C.人員配置と法的根拠 <br>
D.人的資源管理における今後の方向性 <br>
2―2 <br> キャリアマネジメント
A.キャリアとは <br>
B.キャリア発達 <br>
C.コンピテンシー <br>
2―3 <br> 組織文化と人的資源のかかわり
2―4 <br> ワーク・ライフ・バランス
A.海外の状況 <br>
B.わが国の現状 <br>
C.キャリア発達とワーク・ライフ・バランス <br>
D.労働安全衛生とワーク・ライフ・バランス <br>
3.情報の管理 <br>
3―1情報の取り扱い <br>
A.看護と情報 <br>
B.医療情報システム <br>
C.看護管理と医療情報システム <br>
D.電子カルテの運用に求められる要件 <br>
3―2情報の管理 <br>
A.電子情報のリスク <br>
B.電子情報の適切な管理のための対策と教育 <br>
C.医療と個人情報の保護 <br>
4.管理行動 <br>
A.コミュニケーション <br>
B.アサーション <br>
C.指示 <br>
D.交渉 <br>
E.葛藤の解決 <br>
5.自己管理 <br>
5―1ストレス管理 <br>
A.自己コントロールとバーンアウト <br>
B.ストレスへの対処 <br>
C.演習 <br>
5―2 <br> 時間管理
6. <br> 連携と協働
6―1医療連携 <br>
A.医療連携とは何か <br>
B.医療連携を促進する方法 <br>
C.効果的医療連携のための看護のポイント <br>
D.医療連携から地域包括ケアへ <br>
6―2他職種との連携 <br>
A.専門職連携教育/学習および専門職連携実践 <br>
B.専門職連携実践能力およびさまざまな連携活動の理解 <br>
C.専門職連携実践のマネジメントの理解 <br>
7.アウトカムマネジメント <br>
7―1看護の質マネジメント <br>
A.質マネジメントとは <br>
B.質マネジメントの歴史 <br>
C.質評価の枠組み <br>
D.質評価のための指標 <br>
E.質保証から質改善へ <br>
F.看護業務基準 <br>
7―2安全管理 <br>
A.リスク管理とは <br>
B.医療事故の定義 <br>
C.医療事故・インシデントレポートの分析と活用 <br>
D.米国におけるリスク管理 <br>
E.日本におけるリスク管理 <br>
F.看護師の多重課題の特徴と対応 <br>
G.演習 <br>
7―3働きやすい職場環境づくり <br>
A.看護管理者の職場環境づくりに関する役割 <br>
B.看護サービスのアウトカム,および職務満足と顧客満足の関係 <br>
C.職務満足と患者満足の理論的基盤 <br>
D.職務満足の向上の方策 <br>
E.多様な価値観をまとめ,目標を共有化していく <br>
<br>
第III章 看護サービス管理の周辺 <br>
1.医療政策と看護管理 <br>
1―1医療制度 <br>
A.医療制度のしくみ <br>
B.医療制度の背景となるデータ <br>
C.医療保険 <br>
D.診療報酬制度 <br>
E.介護保険制度のしくみ <br>
F.医療提供体制 <br>
1―2医療政策の変遷 <br>
A.医療政策の経緯 <br>
B.医療制度改革 <br>
C.地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築 <br>
2.現代法制度と看護管理─医療提供関連法規 <br>
A.憲法 <br>
B.医療提供体制の動向と医療法(昭和23年法律第205号) <br>
C.医療介護総合確保推進法 <br>
D.医療提供を担う人材に関する法律 <br>
E.医療保険制度 <br>
3. <br> 看護管理と倫理
3―1看護管理と倫理 <br>
A.看護実践における倫理とは <br>
B.看護実践の場で生じる倫理的課題と看護管理の関係 <br>
C.看護管理の視点からとらえた倫理的課題 <br>
D.組織の社会的使命を果たすための看護管理 <br>
3―2看護職能団体 <br>
A.職能団体と看護職能団体 <br>
B.看護職は専門職か <br>
C.日本看護協会設立の背景と経緯 <br>
D.「公益社団法人日本看護協会」の発足 <br>
E.日本看護協会の目的と理念 <br>
F.日本看護協会の事業内容と業務執行体制 <br>
<br>
第IV章 看護管理の展望 <br>
1.これからの時代の看護管理 <br>
A.バック・トゥ・ザ・フューチャー ―これからの時代の看護管理 <br>
<br>
付録1 参考になるウェブサイトのURL集 <br>
付録2 看護業務基準2021年改訂版(日本看護協会) <br>